また、この時の脳活動がfMRIによって記録されました。
実験の結果、息を吸う瞬間では、特定の脳領域(右側頭頭頂接合部、右中前頭回、背内側前頭前皮質)での活動が低下すると分かりました。

これら脳領域の変化が示すのは「集中力の低下」です。
つまり、息を吸う瞬間に私たちの集中力が低下すると判明したのです。
前回の研究では、息を吸う瞬間と記憶想起に関連性が見出されました。
しかし今回の研究から、正確には「私たち人間は、息を吸う瞬間に集中力・注意力が途切れ、その結果、記憶力や判断力など、さまざまな認知機能の低下を引き起こす」と言えるようです。

こうした発見は、「息を吸わなければ集中力が途切れない」とか、「非常に重要な瞬間では息を吸うのではなく、息を吐いておくと良い」といった新しい呼吸法の研究に役立つ可能性があります。
「呼吸と集中力の関係性」は人間の活動に関わる重要な要素として、今後注目されていく分野でしょう。
研究チームは、「呼吸をうまく主導することで、集中力や注意力を改善し、最終的に、日常生活や仕事、勉強だけでなく、スポーツや車の運転など、あらゆる分野でのパフォーマンスの向上に役立つことが期待されます」と述べています。
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参考文献
集中力低下は「息を吸う瞬間」と関係していることが明らかに
https://www.hyo-med.ac.jp/corporation/publicity/news-releases/1487/
元論文
Respiration-timing-dependent changes in activation of neural substrates during cognitive processes
https://academic.oup.com/cercorcomms/advance-article/doi/10.1093/texcom/tgac038/6696699