科学が示した「ありえない年代」
当然ながら、主流の学界はこの発見を一笑に付した。「人類と恐竜が共存するなどありえない。偽物に決まっている」と。
しかし、この発見に真剣に向き合った一人の学者がいた。ニューハンプシャー大学の歴史人類学者、チャールズ・ハプグッド教授だ。彼は現地に赴き、いくつかのサンプルを持ち帰って科学的な年代測定を依頼した。その結果は衝撃的なものだった。
1968年、炭素14年代測定法:紀元前1100年~4500年(約3100~6500年前) 1972年、熱ルミネッセンス法:紀元前2500年頃(約4500年前)
この結果は、さらなる謎を生んだ。土偶が作られたのは数千年前。もちろん、恐竜が闊歩していた6500万年前とは程遠い。しかし、人類が恐竜の化石を発見し、その姿を知るようになるのは、わずか200年ほど前のことに過ぎない。
数千年前の古代人が、なぜこれほど正確に恐竜の姿を描写できたのか? この矛盾こそ、アカンバロの土偶が「主流の歴史にそぐわない」として、オーパーツ(場違いな工芸品)と呼ばれる所以なのである。

本物か、巧妙な偽物か。終わらない論争
もちろん、偽物説も根強く存在する。1952年に現地を調査した考古学者チャールズ・ディペソは、「土偶には、何千年も地中に埋まっていた遺物特有の傷や風化が見られない。最近作られたものだ」と断じている。また、メキシコ政府も当初は発見の意義を認めながら、最終的には「恐竜が描かれているから」という理由で、その信憑性を否定した。
あるいは、これらは恐竜ではなく、神話上の怪物や、実在の動物を様式的に表現したものに過ぎないのかもしれない。
人類と恐竜の共存。その夢物語を証明する決定的な証拠として、アカンバロの土偶が認められる日は、おそらく来ないだろう。しかし、常識という名の壁に、大胆な疑問符を投げかけるこの3万点の小さな土偶たちが、我々の知的好奇心を掻き立ててやまないことだけは確かである。
参考:The Ancient Code、ほか
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