「これは偶然ではない」ローブ教授の宇宙船説
これらの統計的、物理的な矛盾から、ローブ教授は大胆な結論を導き出した。それは、「この天体は、偶然太陽系にやって来たのではない」というものだ。
「この物体は、まるで太陽系の内側を“狙って”やってきたかのようです。問題は、なぜ太陽系に向かって送り込まれたのか、ということです」と彼は問いかける。つまり、何らかの技術的な設計によって、意図的に進路を定められた可能性を示唆しているというのだ。
ローブ教授はこの状況を、SF作家アーサー・C・クラークの名作『宇宙のランデヴー』になぞらえる。この小説では、太陽系に飛来した謎の恒星間天体が、実は高度な文明によって作られた巨大な宇宙船だったことが判明する。

主流派の冷静な反論「正体はただの彗星だ」
もちろん、科学界の誰もが宇宙船説に賛同しているわけではない。NASAやヨーロッパ宇宙機関(ESA)を含む多くの天文学者は、より現実的な説明をしている。それは、3I/ATLASの正体が「彗星」であるというものだ。
もしこの天体が彗星であれば、太陽に近づくにつれてその熱で氷や塵が蒸発し、本体の周りに明るく輝く「コマ」と呼ばれるガス層を形成する。このコマが光を強く反射するため、中心にある核(本体)が実際には小さくても、観測上は非常に大きく明るく見えるというわけだ。
ローブ教授自身も、これが「最もシンプルで、最も可能性の高い解決策」であることは認めている。しかし、彼は「彗星であるという証拠も、まだ決定的ではない」と反論を続ける。
例えば、これまでの観測では、彗星特有のガスや塵が直接放出されている様子は明確に捉えられていない。今後、3I/ATLASはさらに太陽に近づいていく。もし本当に彗星ならば、より活発にガスを放出し、その正体を明らかにするはずだ。
宇宙船か、それともただの彗星か。この謎めいた訪問者が、そのベールを脱ぐ日は、そう遠くないのかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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