しかし、味がなかったとしてもシジミはシジミ、美味しく食べられないのか?と思う人もいるかもしれません。筆者もそう思い、調理してみたことがあります。
タイワンシジミはドブに生息しているため、どうしても泥臭さが強いのは否めません。一方で非常に生命力が強く、カルキ抜きをしていない水道水でも平気で生きています。そのため泥抜きをしっかりと行うことができました。
またこのシジミは一般的なシジミ(ヤマトシジミ)よりも加熱したときに身がプリッとしています。これを活かすべくまずは酒蒸しにし、身だけを集めて醤油、みりん、味の素、にんにく、生姜で作ったタレに漬け込みます。台湾名物「シジミの醤油漬け」です。

味がないシジミですが、タレの旨味が染み込めば流石に味もつきます。そうなると生来の身の大きさが活きてきて、食べごたえのある美味しいおつまみになりました。
皆さんも、もし身近な側溝でこのシジミを見かけたら、よかったら試してみていただきたいのですが、前記の通り扱いに注意が必要な外来種なので、絶対にもともといたのとは別の場所に移殖、放流などなさらないようご注意ください。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>