438日目の奇跡―「現代のパイ物語」と呼ばれた男

 孤独な漂流は続く。ある日、彼は巨大なコンテナ船を発見し、必死に助けを求めた。船員たちは彼に気づき、手を振った。しかし、船は無情にもそのまま通り過ぎてしまった。「あの瞬間、人間性への信頼を失った」と彼は後に語っている。それは彼の心を打ち砕くのに十分な出来事だった。

 そして2014年1月30日、悪夢はついに終わりを迎える。彼のボートが、マーシャル諸島の小さな離島に漂着したのだ。438日ぶりに陸地を踏んだ彼は、偶然見つけた民家の住民に助けを求め、奇跡の生還を果たした。

 この壮絶な物語は、映画にもなった小説『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』になぞらえられ、彼は「現代のパイ物語の主人公」として世界中に知られることとなった。食料も水もない絶望的な状況下で、人間の生命力と精神力がどこまで試されるのか。ホセ・サルバドール・アルバレンガの物語は、その極限を私たちに教えてくれる。

鳥の血を飲み、亀を食らい、友の死体と会話… 438日間、海を漂流した男が語る地獄のサバイバルの画像3
(画像=画像は「Amazon」より)

参考:LADbible、ほか

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