参政党の躍進が話題だが、これを欧州のような「極右政党」と呼ぶのは誤解である。むしろ公明党のように都市の未組織労働者や自営業を組織した面が強い。これを島田裕巳氏は都市下層と呼んでいる。

参院選の大躍進はまぐれ当たり

昨年の総選挙で3議席しか取れなかった党が、半数改選の参議院で14議席も取ったのは偶然の要因も大きい。特に維新を追放された梅村みずほ議員が入党して5議席になり、政党要件を満たしてテレビに出るようになってから急に支持率が上がった。

ただ日本保守党やれいわ新選組と違うのは、党員が8.5万人、地方議員が124人もいることだ。このように地方議員を増やし、彼らのドブ板活動で支持を広げていく手法は、公明党や共産党と同じである。

そのマーケティングの武器は、右翼イデオロギーではない。かつて創価学会が「折伏」と呼ばれる現世利益の押し売りで信者を増やし、その信者が「座談会」に集まって献金するマルチ商法的な手法で組織を拡大したように、身寄りのない都市下層のコミュニティをつくることが重要だ。

参政党のDIYワークショップ

参政党も全国各地で「DIYワークショップ」と呼ばれる集会を開いているが、そのテーマは政治ではなく、子供の教育、食の安全、医療への不安といった日常的な問題であり、そこに集まってくるのは主婦である。

「都市下層」は新しいブルーオーシャン

支持者を男女別にみても、参政党の支持者は20代では女性のほうが多い。国民民主党の支持者に男性(大企業の労働組合員)が多いのに対して、今まで政治に関心のなかった主婦が、ワクチンやアトピーやオーガニックという身近な話題で参政党に引きつけられている。

参政党の特徴は動画やSNSで、活字を読まない若年層に支持を拡大したことだが、年代別にみると意外に40~50代にも支持者が多い。これは1990年代の就職氷河期世代が30年たって50前後になった世代である。非正規の「高齢フリーター」が多く、組織に所属しないまま年をとり、既成政党に不信感が強い。