「フレンチブルドッグは深刻な健康問題を抱えており、この犬種はもはや医学的見地から”典型的な犬”と見なすことはできない」
英・王立獣医学校(RVC)は2021年に、延べ2万4631頭のイヌ(うちフレンチブルドッグ2781頭)の健康記録を分析した結果、このような厳しい警告を発するに至りました。
平たい顔をしたブルドッグは、鼻孔狭窄や閉塞性気道症候群を含む20の一般的な疾患リスクが、他の犬種よりはるかに高いことが判明したのです。
研究チームはこれを受け、疾患リスクを減らすため、フレンチブルドッグをより穏やかな形態へと変化させる必要性があると述べています。
研究の詳細は2021年12月16日付けで学術誌『Canine Medicine and Genetics』に掲載されました。
目次
- 最大の武器「平たい顔」が致命的に?
- 顔を変える必要性がある?
最大の武器「平たい顔」が致命的に?

本研究では、2016年以降にイギリス全土の動物病院がRVCのデータベースに記録した、フレンチブルドッグ2781頭と他の犬種2万1850頭の病歴を分析。
具体的には、43の特定疾患の診断率をフレンチブルドッグと他の犬種で比較しました。
その結果、フレンチブルドッグは、20項目の疾患において有意に大きなリスクを負っていることが分かったのです。
疾患の中には、呼吸困難の原因となる鼻孔狭窄(42倍)、閉塞性気道症候群(31倍)、耳漏(14倍)、鄒壁性皮膚炎(11倍)、出産困難(9倍)などが含まれています。
※耳漏(じろう)=耳の穴から膿が出てくる疾患
※鄒壁(すうへき)性皮膚炎=顔のシワが原因となる皮膚病
研究主任のダン・オニール(Dan O’Neill)氏は、次のように述べています。
「多くの人が、フレンチブルドッグを愛していることに疑いはありません。しかし悲しいことに、本研究は、これらのイヌに影響を与える深刻な健康問題を明らかにしています」