AIによるホワイトカラー職の代替が始まった
アマゾンがロボットの導入を進める大きな目的は、やはり人員削減によるコスト削減なのか。
「アマゾンは公式には従業員の労働災害の削減と処理コストの削減が目的だと説明しており、人員削減によるコスト削減だとは明言していません。処理コストについては25%削減されたと言っていますが、結果的にはコスト削減効果が生じると考えられます。
先日、アマゾンのアンディ・ジャシーCEOが従業員宛ての書簡で、今後はオフィス勤務のホワイトカラーの従業員の数も減っていくと記していますが、多くの人がいつか来る未来と予想されていた『AIによるホワイトカラー職の代替』が、ついに世界最大級のIT企業によって具体的に経営戦略として公言されたとして議論を呼んでいます。ジャシーCEOは従業員に対して、AIに好奇心を持って自己研鑽に励み、可能な限りAIを使い実験してほしい、それが会社が生き残っていくための原動力になるといった主旨のことを言っていますが、アマゾンに限らず、これは今では世界共通でいえることでしょう。
多くの人が生成AIを使うようになって、AIエージェント同士が連携して自発的に動作するようになり、あらゆる領域で『人がいらない』という時代に向かっていくでしょう。その一方で、新しい職業が生まれるという現象が起きるのではないでしょうか」
企業へのAI導入支援を手掛ける企業の役員はいう。
「すでに製造現場ではファクトリーオートメーション(FA)といったかたちでロボットの導入により省人化が進んでいるが、現状ではヒト型ロボットの導入はあまり進んでいない。物流拠点は規則的ではない動きが多いため自動化が難しく、ヒト型ロボットがどれほど速いスピードで導入が進んでいくのかは予測が難しいものの、中長期的には導入が進んでいくことは確かだろうし、それによって人件費が削減されなければ導入する意味がないので、当然ながら現場に従事する人の数は減ることになる。もっとも、人手不足解消につながる面もあり、どうとらえるのかは難しい」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=小久保重信/ニューズフロントLLPパートナー)