こうした姿勢の転換の背景には、クリフスの厳しい経営環境があります。2025年4〜6月期決算では4億8300万ドルの赤字を計上し、4四半期連続の最終赤字となりました。販売価格の下落に加え、米国内の高炉や鉱山の一部停止によるリストラ費用も重くのしかかりました。

ゴンカルベス氏は過去に「日本は邪悪だ」といった過激な発言をして問題視された経緯もあります。にもかかわらず、今回のように日鉄の米国での投資を評価する発言をしたことからも、クリフスが自社の生き残りをかけて柔軟に姿勢を変えている様子がうかがえます。

現在、米国の鉄鋼産業はコスト高や競争力低下に直面しており、USスチールもクリフスも厳しい状況にあります。ラストベルトと呼ばれる地域の経済も停滞が続いており、今後はライバルである日鉄の動向がクリフスにとっても大きな意味を持つことになりそうです。

ゴンカルベスCEO クリーブランド・クリフス YouTubeより