ベテルギウスのすぐ近くに、ごく暗く小さな伴星が寄り添うように存在していたのです。

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青色が新たに発見された伴星/ Credit: NOIR Lab(2025)

この星には「シワルハ(Siwarha)」という名が提案されています。

これはアラビア語で「彼女のブレスレット」を意味し、ベテルギウスの名前(「巨人の女の手」という意味)に関連させたものです。

シワルハの避けられぬ終焉

シワルハは、太陽の約1.5〜1.6倍の質量を持つ、まだ若い星です。

星としての本格的な活動である水素融合を始める前段階の、いわば“生まれたての青白い星”とされています。

一方のベテルギウスはすでに寿命の終わりが近づいており、まもなく超新星爆発を迎えると予想されています。

研究者によると、この2つの星はおそらく同じタイミングで誕生した「双子星」でありながら、片方はすでに人生の終盤、もう片方はまだ歩み出してもいないという、奇妙な時間差を抱えた運命にあるというのです。

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Credit: NOIR Lab(2025)

さらに恐ろしいのは、2つの星の関係が今後ますます緊迫していく可能性が高いという点です。

研究者たちによれば、重力の相互作用――いわゆる潮汐力――により、シワルハは次第にベテルギウスへと引き寄せられ、やがては衝突あるいは呑み込まれる運命にあるというのです。

その“終末”は今から1万年以内に訪れると予測されています。

宇宙のスケールで見れば、ほんの一瞬の出来事です。

爆発によってベテルギウスが中性子星やブラックホールになれば、シワルハはその高エネルギー環境に巻き込まれ、生き残ることは難しいでしょう。

このように、静かな夜空に輝く星々の背後では、想像を絶するような重力のダンスと悲劇のドラマが密かに繰り広げられているのです。

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参考文献

It’s Official: Betelgeuse Has a Binary ‘Twin’, And It’s Already Doomed
https://www.sciencealert.com/its-official-betelgeuse-has-a-binary-twin-and-its-already-doomed