冬の夜空を見上げると、ひときわ赤く輝く星――それがオリオン座の「ベテルギウス」です。
星に詳しくなくても、そのあまりにも有名な名前は聞いたことがあるでしょう。
そんなベテルギウスに、これまで誰も見たことのなかった“もう一つの星”が寄り添っていたことが、ついに明らかになりました。
全米天文学大学連合(AURA)のチームは最近、ベテルギウスの側に”双子の伴星”と呼べる星を新たに発見し、「シワルハ」と命名。
しかし見つかったばかりのシワルハには、この先、悲劇的な運命が待ち受けているようです。
目次
- 巨星の側に潜んでいた幻の星「シワルハ」
- シワルハの避けられぬ終焉
巨星の側に潜んでいた幻の星「シワルハ」
赤色超巨星であるベテルギウスは、地球から約550光年の距離にあり、質量は太陽の約16.5〜19倍、半径はおよそ764倍にもなるモンスター級の星です。
その明るさは肉眼でもはっきりと確認でき、古代から人類に観測されてきました。
ところが、2019年末から2020年にかけて突如としてベテルギウスの光が大きく減光し、「ついに超新星爆発が来るのではないか」と世界中の天文学者たちをざわつかせます。
しかしこの「大減光」の正体は、星が噴き出した塵が光を遮っただけであり、爆発の兆候ではなかったことが後に判明しました。

そしてこの騒動が、ある“副産物”を生むことになります。
それはベテルギウスの光度の変動に注目した研究から始まりました。
ベテルギウスは約400日ごとの主要な変動とは別に、約6年周期で光がゆっくりと変化する奇妙な性質を持っていたのです。
この長期変動が、内部の活動では説明できないことから、一部の研究者たちは「近くに別の星があるのではないか」と考え始めました。
そして研究チームが、ハワイのマウナケア山にあるジェミニ望遠鏡に搭載された高精度観測装置「‘Alopeke(アロペケ)」を使い、ついにその“幻の星”を捉えることに成功。