また、銀行の立場を「コンシェルジュ」として位置付けることは、銀行の立場で金融機能を提供するということではなくて、顧客の夢に対して、顧客の真の需要に対して、顧客の視点で対応するということだから、まさに、今の金融庁のいう顧客本位の精神そのものであって、金融行政を先取りしていた敬服すべき経営方針であったというべきなのである。
金融庁が今更ながらに顧客本位の業務運営を銀行に求めているということは、普通の銀行の経営姿勢が少しも顧客本位でないことを示している。故に、顧客本位に徹してきたスルガ銀行の差別優位が光り、そこにかつての栄光があったである。このことは、その後のスルガ銀行に生じた不幸な事態にもかかわらず、歴史的に動かし得ない真実として、スルガ銀行の功績として、記憶されなければならない。
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森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC X(旧Twitter):nmorimoto_HC Facebook:森本紀行