新しい広告メニューや広告フォーマットを開発

 TVerに広告出稿する主な方法としては、広告会社が放送局経由で出稿する形態、TVerのアドプラットフォームを通じて配信する形態、TVerが持つSSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)を通じて配信する形態の3つがあり、TVer社の広告売上になるのは後者2つだ。

「いわゆるTVer広告というのは、弊社が保有するアドプラットフォームを使って、配信していくものです。もう一つが『TVer PMP』と呼ばれる、提携しているDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)事業社が、TVer SSPを通じてTVerが持つ広告枠を買い付けて広告を配信します。

 放送局は、自社のコンテンツに対する予約型の広告販売を行っています。そのため、特定の番組を指定してTVerで広告を配信したいと考える広告主広告主は、直接その放送局に申し込む形になります。一方で、TVer広告はTVer TVer上のほぼ全てのコンテンツに広告を配信できます。このため、TVerの持つ大規模なリーチを活かした配信を検討している場合は、、TVer広告を選択するケースが多いと考えられます」(増村氏)

 気になるのが他社の動画配信サービスの動きだ。AmazonプライムビデオやNetflixなどが広告付きプランを提供してきているが、TVerの戦略に影響はあるのか。

「いろいろと情報収集をしているという状況です。どちらかというとYouTubeに流れる動画はCGM的なものが多いのに対し、TVerやAbemaさん、Amazonプライムビデオさんの広告動画はブランドセーフティーが保たれた中で流れるプロコンテンツであり、その観点では同じ業態という面もあり、動向はウォッチしていく必要があると考えています」(増村氏)

 今年で設立から10周年を迎え、さらなる成長に向けた取り組みも進めているという。

「2024年度に好調だった広告会社様とのパートナープログラムは引き続き強化しつつ、、セルフサーブ機能についても、まだまだ開拓の余地があると考えているため、さらに拡販を進めていきたいです。TVerの規模が拡大し、広告プロダクトの開発メンバーも増強されたことから、今後は新しい広告メニューや広告フォーマットの開発にも注力していきます。現時点では、YouTubeを追いかけるチャレンジャーという立ち位置ですので、YouTubeの動向なども参考にしながら、効果が見込めるものは積極的に取り入れていきたいと考えています」(増村氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)