一方、イスラエルは今月16日、「少数宗派のドゥルーズ派を守るため」という理由で、スワイダに向かうシリア政府軍の車列やダマスカスの政府庁舎を爆撃し、国際社会から批判を受けたばかりだ。イスラエルのミラー国連次席大使は「イスラエルにはシリア南西部を非武装地帯として維持し、テロの脅威を防ぐ責任がある」と説明している。
参考に、余り知られていない少数宗派ドゥルーズ派について、外電情報を参考にまとめてみた。
彼らは少数派だが、中東の歴史において重要な役割を果たしてきた。中東には100万人以上のドゥルーズ派が暮らしている。ドゥルーズ派の一神教は、11世紀にシーア派イスラム教から分裂してエジプトで誕生した。死後の魂の輪廻転生を信じている。
ドゥルーズ派はイスラム教の「コーラン」を聖典とみなしていないことから、イスラム教徒の間では、ドゥルーズ派はイスラム教に属するか否かについて論争がある。ドゥルーズ派の伝統的な衣服は黒で、男性は白い頭巾を、女性は白いスカーフで髪と口を覆う。
ドゥルーズ派の大半は、シリア、レバノン、イスラエルの山岳地帯に住んでいる。推定70万人のドゥルーズ派は、シリア内戦以前は人口の約3%を占めていた。最大のグループは、南部のスワイダ県とクネイトラ県に住んでいる。ダマスカス郊外にも、小規模なコミュニティが存在する。
レバノンのドゥルーズ派の人口は約20万人と推定され、ヨルダンでは1万5千人から2万人と言われる。一方、約15万3000人のドゥルーズ派がイスラエル国民だ。他のアラブ系イスラエル人とは異なり、彼らは軍隊にも所属する。2万人以上のドゥルーズ派が、1967年にイスラエルがシリアから奪取したゴラン高原にシリア国民として暮らしている。
中東以外では、北米とオーストラリアにドゥルーズ派のディアスポラ(離散民)が存在する。最も著名なドゥルーズ派の一人は、アメリカ人俳優ジョージ・クルーニーの妻で人権弁護士のアマル・アラムディン・クルーニーさんだ。