西庭はさらに大きな市松模様。かつての本坊で使われていた敷石の縁石が直線であり、その廃材を利用しなければならないことで導き出したのが、直線を美として表現できる市松模様でした。東福寺内の通天橋を渡った先にある普門院にも市松模様の庭園があるのでそちらを参考にしたとも言われています。

方丈には建物から少し突き出たようになっている舞台状の場所があります。

ここから眺める通天橋。日の光が夏を感じさせますが、高い場所にあるので風が通り思いのほか涼しいです。

ということで、先ほど方丈から眺めていた通天橋を渡ります。紅葉シーズンは大行列ができるのですが、シーズンオフの6月下旬はゆっくり時間をかけて渡ることができました。

通天橋は本堂から開山堂を結ぶ橋廊であり、両堂の間の谷を渡るために1380年にかけられた歴史のある橋です。

6月下旬。紫陽花は最後の見ごろを迎えていました。

橋はただ渡るだけではなく、ところどころ降りることができる場所があります。紫陽花や青紅葉を存分に楽しみながら寄り道をすることができます。

橋の一部舞台のように突き出た部分からは、洗玉澗の美しい谷の絶景を眺めることができます。秋はここで写真を撮るのも競争です。

舞台から洗玉澗を見下ろす。

通天橋から方丈を眺める。左手に突き出た部分が先ほど通天橋を眺めた舞台。

通天橋を渡り、開山堂にやってきました。ここには東福寺を建立した円爾弁円の尊像が祀られています。円爾は鎌倉時代に宋で仏教を学んだのちに全国で寺院を立てた名僧であり、晩年はここ開山堂に隣接する普門寺に住み、ここで谷の向こうに建てられつつあった東福寺を眺めていたそうです。

その普門院は現在工事中でしたが、その廊下に座って庭を眺めることはできました。白砂が太陽の光を反射して眩しい。ちょっとわかりにくくなってしまっていますが、この白砂が市松模様を描いており、方丈の市松模様もここから着想を得たものとされています。