●この記事のポイント ・発売から50周年を迎えた森永製菓の「HI-CHEW(ハイチュウ)」が海外市場で売上を拡大 ・米国では2014~15年頃に全国規模のスーパーに「HI-CHEW」が採用され、認知度が向上 ・欧州への進出は、海外事業成長の大きな機会と捉えアジアや米国といった既存エリアの深耕と並行して開拓
今年で発売から50周年を迎えた森永製菓のソフトキャンディー「HI-CHEW(ハイチュウ)」が、海外市場で売上を拡大させている。ハイチュウを中心とする米国事業の24年3月期の売上高は、21年3月期時点の目標値の約2倍にあたる約191億円にまで伸長。欧州市場でも開拓が進んでおり、同社はハイチュウグローバル推進室を設置してハイチュウの海外展開を加速させている。同社はどのような施策・取り組みによってハイチュウの海外売上を拡大させているのか。同社への取材をもとに追ってみたい。
●目次
さまざまなニーズに対応する商品ラインアップを拡充
「チョコボール」「ダース」「小枝」「エンゼルパイ」「ミルクキャラメル」など数多くのロングセラー商品を抱える森永製菓は、2025年3月期の年間売上高が2289億円、営業利益が212億円、従業員数が約3000人(連結)に上る、日本を代表する総合菓子メーカーだ。
そんな同社の看板商品であるハイチュウが誕生したのは1975年。当時の高級志向の高まりを受けて高級を意味する「HI」を付けてハイチュウと名付けられた。粒は現在の構造とは異なり、上下が白く真ん中にフルーツ色のキャンディを挟んだ3層構造だった。外側と内側の二重構造の「あんこ巻」になったのは1986年で、同時にパッケージもスティックパックに変更。海外展開としては、2001年に台湾で発売したのを皮切りに、04年に中国、08年に米国へ進出してきた。
森永製菓の「ハイチュウ」ブランドを含む海外事業は近年、伸びている。「2021中期経営計画(21中経)」策定当初(21年3月期)は海外売上高が約117億円、海外売上高比率が7.0%だったが、米国を中心に大きく成長したことにより、24年3月期には海外売上高が約269億円、海外売上高比率が12.7%にまで伸長した(「ハイチュウ」ブランドのみの売上実績は開示していない)。
海外でハイチュウの売上が拡大している理由について、森永製菓は次のように説明する。
「『HI-CHEW』の特長である独自の『食感』と『リアルなフルーツの味わい』が受け入れられたのではないかと考えています。また、海外市場では通常品に比べ砂糖使用量を削減した健康軸の商品や、キャンディの個包装をなくし環境に配慮した商品等、さまざまなニーズに対応する商品ラインアップの拡充や、多様な包装形態の展開にも力を入れています」