さらに実際には、SNSでよく見られるような「ハイリターン投資」や「レバレッジ運用」に手を出し、失敗するケースも少なくない。リーマンショックやコロナショック時には、株価が50%近く下落した。たった一度の判断ミスで、10年以上の努力が水泡に帰すリスクが常にある。
近道をするつもりが資産を吹き飛ばしてしまった、という人を現実世界でそこそこ見てきた。年収3000万、4000万の経営者が銀行に勧められ、株運用に手を出して失敗、5000万飛ばしたという人が身近にもいる。
若い内に資産1億円に到達する人
大金は若い内に得ていることが非常に大きな意味を持つ。だが上述した通り、資産一億円到達にはとてつもなく時間がかかるので、大抵の場合はシニアになってからだ。30代の内の若くして到達している人は極めて例外といっていいい。
では30代以下で資産1億円を実現している人はどうやって到達したのか?考えられる可能性は以下のものである。
・起業で成功 ・投資で一発当てた ・親の支援(相続・生前贈与)
このうち、唯一再現性があるとすれば1番の「起業」である。サラリーマンで年収2000万円以上を得ているのは全体のわずか0.3%(国税庁調査)だが、起業家であれば数千万円の所得を稼ぎ出す人は珍しくない。
起業はまた、税制面でも有利である。必要経費を差し引いてから課税される法人・個人事業主と、給与から源泉徴収されるサラリーマンでは、手残りに大きな差が生じる。また、仕事の選択肢や時間の使い方の自由度も高く、複数収入源を持つことも可能だ。
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筆者は起業に誘導するインセンティブがなく、そうしたビジネスもやってないのでフラットな立場である。その立場からざっくり結論めいた事を言うなら、「若い内に資産一億円に到達するには起業以外だとかなり難しい」という現実である。
細かい事を言うと、金融トレーダーとか、ITエンジニアなどサラリーマンでも高額所得者はあり得るが、難易度は起業より難しいだろう。