ドイツ経済研究所(Ifo)も、エネルギー価格の上昇に伴い「生産の海外移転や一時的な生産停止」が起こる可能性を早期から指摘してきた。実際に、フォルクスワーゲンが国内での新EV工場建設を断念し、中国に年間35万台規模の大型工場を建設するなど、製造業各社は将来的な成長投資の場を海外に求め始めている。

東ドイツ地域の労働組合代表らは、「かつてない規模の良質な職が今まさに危機に瀕している」として、ドイツ政府に対し緊急書簡を送り、安定的かつ安価なエネルギー供給体制への政策転換を求めている。

以上、ドイツにおける産業空洞化と雇用喪失の現状を、「ブラックアウト・ニュース」の報道に基づき解説した。

この「ブラックアウト・ニュース」は、ドイツの匿名エンジニアたちが運営するウェブサイトとされている。川口マーン惠実氏がたびたび紹介しているように、ドイツ国内の大手メディアは政府のグリーン政策を礼賛する傾向が強く、その弊害についての報道は乏しい。しかし、「ブラックアウト・ニュース」を読むことで、そうしたネガティブな側面も明らかになる。

ドイツ語で書かれた記事は分量も多く、かつては日本人にとって容易に読めるものではなかったが、現在では自動翻訳やAI要約によって、格段にアクセスしやすくなり、有用な情報源として活用されつつある。

『データが語る気候変動問題のホントとウソ』