しかし現実はどうでしょう。公約を「努力目標」程度にしか考えていない政治家が、当選していきます。なぜなら、私たち有権者もまた、公約違反を許し続けてきたからです。「仕方がない」「政治なんてそんなもの」—この諦めこそが、政治家の傲慢を助長させてきたのです。

有権者として私たちにできることは、公約を守らない政治家を次の選挙で落選させることです。そして、公約違反を「解釈の違い」で済ませる政治家を、二度と信用しないことです。投票は、私たちが持つ最大の武器です。その武器を正しく使わなければ、民主主義は形骸化してしまいます。

政治家の言葉には責任が伴います。その責任から逃げる者に、権力を託すべきではありません。図らずも日本の政治の病理が露呈しました。この現実を直視し、変えていくのは、私たち有権者の責任です。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)