iPhoneの生みの親、スティーブ・ジョブズ氏は生前、「何もしない時間」を大切にしていたことで知られている。彼は散歩中に重要な意思決定を行ったと言われていた。スマホの使い方を見直す時が来ているのだ。

スマホ断ちで変わったこと

筆者自身も数年前まで、スマホ依存状態だった。移動中も食事中も常にスマホを手に取り、何かしらの情報を消費していた。会社員ではないため、時間に制約もなく、PCかスマホを常に操作していた。スクリーンタイムを見るとゾッとするほどの時間をスマホに吸い取られていたのだ。

だが今はもうやめた。普段の日常生活で一日のスマホの平均使用時間は1時間未満、時には10分前後という日もある。そして使用時間もほとんどがタイマーアプリや仕事での動画撮影などで画面はなるべく見ないようにしている。デジタル処理はほぼすべてが自宅と職場のPCであり、スキマ時間は空白のままにしている。

特に仕事が終わった夕方以降の時間帯は子供もいるということもあり、意識してスマホに触らない。その代わりに書籍や雑誌を読んだり、家族との会話を楽しむように変えた。

その結果、大きな変化が起きた。まず、頭が元気になった。翌朝の目覚めはすっきりで、仕事のパフォーマンスも明らかに向上した。そして、画期的な仕事のアイデアが降臨するのはいつもウォーキングや部屋の掃除中、入浴中がほとんどで、スマホ断ちによって以前よりアイデアがよく出るようになったと感じる。

情報の摂取量を減らしただけで、脳の回復力が高まり、アイデアもよく出るように変化したのだ。

とはいえ、資格試験の勉強をしているとか、専門技術やテクノロジーを追いかける情報収集には価値がある。日中の仕事や家庭で忙しい人はスキマ時間を有効活用することは無駄ではない。

問題はスキマ時間を「全部埋めよう」としてしまうことにある。勉強や必要な情報収集、仕事で埋めることには価値があるが、知らず知らずのうちに本来必要のない内容のニュースやSNS、動画視聴をすると脳が疲労してトータルパフォーマンスが落ちてしまうということだ。