一方、アジ科をはじめヒイラギ科やトウゴロウイワシ科などの分類や新種記載などでよく知られる三重大学の方々により、しっかり同定されたということも大きいと言えます。
一般の釣り人がこれらのアジを釣っても「変なアジを釣ったな」で逃がすなどして終わってしまい、せっかくの発見も標本がなく写真記録のみになってしまっていることが多いのです。
ミナミギンガメアジ実食
ミナミギンガメアジを食するのは、この時が初めてではなく、2020年秋に鹿児島県産の個体を食したことがありました。しかし、このときに食したのは全長38センチほどの個体で、今回の個体よりもずっと小さなものでした。

今回はミナミギンガメアジをじっくり観察したあと食してみました。
キッチンの上にミナミギンガメアジを載せて写真を撮ると、ただ細長いだけでなく、結構痩せているように感じました。

購入先の長野さんも「脂はのっていない」と言っていたのですが、せっかく我が家にやって来てくれたので食べないともったいないです。
ミナミギンガメアジの味は?
実際に食してみると、身が赤く、脂はほとんど乗っていない様子。「アジ」というのは一説には「美味な魚」のことだとされていましたが、今回のアジは残念ながらあまり美味しくはありませんでした。

とはいえ、「三重県産ミナミギンガメアジの成魚を食べる」という、おそらくまたとないであろう、貴重な経験をすることができたのでした。
謝辞と文献
今回のミナミギンガメアジの入手については長野淳さん(三重県熊野市 鮮魚商)にお世話になりました。ありがとうございました。
・小枝圭太・畑 晴陵・山田守彦・本村浩之編.2020.大隅市場魚類図鑑.鹿児島大学総合研究博物館.鹿児島市.
・益田 一・ジェラルドRアレン.1987.世界の海水魚 ≪太平洋・インド洋編≫.山と渓谷社.東京.
・中坊徹次編(2013)、日本産魚類検索 全種の同定 第三版、東海大学出版会
・中坊徹次編(2018)、小学館の図鑑Z 日本魚類館、小学館
・宿女太志・岡田 誠・笹木大地・木村清志. 2018. 三重県初記録ならびに分布北限記録更新のアジ科魚類4種.Nature of Kagoshima 45:1-9.