2021年1月末、Facebookで三重県産の巨大なミナミギンガメアジの写真を見かけました。全長80cm超の迫力ある個体で、すでに売約済み。次回入荷時に送ってほしいと熊野市の鮮魚商・長野淳さんにお願いしたところ、なんと3日連続で大型個体が水揚げされ、すぐに購入できました。

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(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)

珍しい巨大アジ『ミナミギンガメアジ』を食べてみた 南方種の特徴と食味とは?

ミナミギンガメアジの特徴

ミナミギンガメアジCaranx tilie Cuvier, 1833はアジ科・ギンガメアジ属の魚。1983年に日本(沖縄県)からはじめて記録され標準和名が付けられたもので、琉球列島では成魚がたまに釣れますが、九州以北では少ない種類です(ただし近年、鹿児島県内之浦湾において近年個体数が増加しているよう)。

大きいものでは体長70cmほどになり、成魚はギンガメアジよりも細長くなるようです。

珍しい巨大アジ『ミナミギンガメアジ』を食べてみた 南方種の特徴と食味とは?鹿児島県産のミナミギンガメアジ(撮影:椎名まさと)

ギンガメアジ属

ギンガメアジ属(Genus Caranx)は世界中の暖かい海域に分布。世界に19種、うち日本にはギンガメアジ、カスミアジ、オニヒラアジ、イトウオニヒラアジ、ロウニンアジ、カッポレ、そして本種の計7種が分布しています。

珍しい巨大アジ『ミナミギンガメアジ』を食べてみた 南方種の特徴と食味とは?ギンガメアジ(撮影:椎名まさと)

しかしながら、その19種が単系統であるかということについては疑わしく、筆者は大西洋産のクロカイワリやそれに似た魚の群については別属ではないかと思っています。

珍しい巨大アジ『ミナミギンガメアジ』を食べてみた 南方種の特徴と食味とは?ミナミギンガメアジの眼には脂瞼がある(撮影:椎名まさと)

日本産の本属の特徴としては、上顎に歯をもつこと、眼に脂瞼(しけん)とよばれる透明な脂質の膜をもつこと、一部の種をのぞき胸部は完全に鱗に覆われること、背びれにあるとげ状の骨(背鰭棘)の間に鰭膜と呼ばれる膜があること、口の先は眼の下端、またはそれより下方にあることによって、ほかの背の高いアジ科魚類(シマアジ属、カイワリ属や旧ヨロイアジ属など)と識別できるとされます。

ギンガメアジやオニヒラアジとの違い