西側(米国側)は大分裂が進んでいます。サミットの有名無実化、米国の同盟国の属国化、国連・WTOと言った国際組織の弱体化、高率関税を脅しに使う米国ファーストです。一方、東側(中露)はどうなのでしょう。中国はグローバルサウス(南の途上国)を束ねて属国化を進め、ロシアは北朝鮮を同盟という名の属国にしつつあります。米側の分裂、中ロ側の結束の同時進行です。

その背後には、グローバル化に対する反動、それによる格差拡大、インターネットとSNSという情報化がもたらす社会の分断化があるでしょう。それで世界は多極化し、国内は多党化・分断化が同時進行しており、交渉を軽視し、軍事力を行使する。国内政治では、財政を犠牲にしたポピュリズムで票を買い、選挙で勝とうとする。多くの国でそうした現象が深刻化しています。

20日の新聞のサミット特集(読売)をみると、「真の議題はトランプ氏」(米外交評議会名誉会長)、「G7の役割、今後も重要」(元駐英大使)、問われる国際協調体制」(証券会社のチーフエコノミスト)らの談話が並んでいます。社説では「G7は世界の安定を担う重責を果たせ」(日経)、「米国不在の危うさを示した」(読売)など、言わずもがなの指摘が多すぎます。

世界は多極化する中で、軍事的大国「G3」が世界を仕切る流れです。国内政治は多党化・分断化で、骨太の意思決定ができず、日本の国会の議論は「手取りの増加」、「ガソリン課税の見直し」「コメ価格の引き下げ」など、「小さな政治」に終始しています。小泉進次郎さん、「コメ大臣になってファイティングポーズをとったら、一躍、首相候補になれた」では恥ずかしい。世界、国内を俯瞰する政治をやりましょう。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2025年6月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。