またスジオイヌ属に分類される動物種はみんな見た目がほぼ完全にキツネであり、名前にもすべて「キツネ(Fox)」が入っています。

ハイブリッドの母親と判明した「パンパスギツネ」
ハイブリッドの母親と判明した「パンパスギツネ」 / Credit: ja.wikipedia

チームはこのハイブリッド種に「グラコソーラ(graxorra)」「ドギシム(dogxim)」 という2つの名前を与えました。

graxorraは、パンパスギツネのポルトガル語名である 「グラクサイム・ド・カンポ(graxaim-do-campo)」 と、メス犬を意味する「カチョーラ(cachorra)」との造語。

dogximは、グラクサイム(graxaim)の頭をドッグ(dog)に取り替えた造語です。

研究主任の一人であるフラビア・フェラーリ(Flávia Ferrari)氏は「彼女は内気で慎重な性格で、当初は人を警戒していましたが、時間が経つにつれて徐々に慣れ始めました」と話しています。

A:ハイブリッド種、B:パンパスギツネ
A:ハイブリッド種、B:パンパスギツネ / Credit: Flávia Ferrari et al., Animals(2023)

その後、彼女は同センターで完全に回復し、別の町の動物保護センターに移されましたが、2023年に入り原因不明の死を遂げているそうです。

チームはその後、彼女のようなハイブリッド種が同地の野生下でどれくらい起こっているかの調査を始めています。

というのも近年は人の住む地域の拡大に伴い、人間と野生動物だけでなく、人の飼っているペットと野生動物との接触の機会が増加しているからです。

これは病気の伝染だけでなく、今回のようなハイブリッド種が発生する可能性を高めます。

もしかしたらグラコソーラ(あるいはドギシム)も、何らかの理由で野生に戻ったオスの飼育犬が、メスのパンパスギツネと交配して生まれたのかもしれません。

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参考文献

First Documented Case Of Hybridization Between A Dog And A Pampas Fox
https://www.iflscience.com/first-documented-case-of-hybridization-between-a-dog-and-a-pampas-fox-70706