候補として挙がったのは「ヤブイヌ」「タテガミオオカミ」「カニクイイヌ」「パンパスギツネ」の4種ですが、ヤブイヌは見た目や生息域が違いすぎることから最初に除外されました。

ヤブイヌ(Speothos venaticus)交雑の候補からは除外された
ヤブイヌ(Speothos venaticus)交雑の候補からは除外された / Credit: ja.wikipedia

次に、南米最大のイヌ科であるタテガミオオカミもサイズや毛色が大きく違うことから除外されています。

タテガミオオカミ(Chrysocyon brachyurus)
タテガミオオカミ(Chrysocyon brachyurus) / Credit: ja.wikipedia

残る候補はカニクイイヌとパンパスギツネですが、この2種は毛色やサイズともに「保護された動物」と共通点があり、どちらも親となりうる可能性があります。

見た目ではこれ以上の判断は出来ないため、研究者たちはここまで絞った候補2種と「保護された動物」の3種で遺伝子の比較分析を行うことにしました。

父親は犬種不明のイエイヌ、母親はキツネと判明!

遺伝子調査の結果、保護された動物は、家畜種である何らかのイエイヌ(Canis familiaris)とパンパスギツネとの組み合わせでのみ生まれうることが判明したのです。

特に遺伝子データからは、母親がパンパスギツネで、父親が犬種不明のイエイヌであることが特定されました。

研究者いわく、犬とキツネのハイブリッド種が確認されたのは世界初とのことです。

カニクイイヌ(Cerdocyon thous)
カニクイイヌ(Cerdocyon thous) / Credit: ja.wikipedia

ただし、母親と判明したパンパスギツネ(学名:Lycalopex gymnocercus)は、英語名でもPampas foxと呼ぶように名前に「キツネ」と付きますが、キツネ属とは違うグループに分類されます。

実際にはキツネと非常に近いスジオイヌ属(Lycalopex)の一種なので、イヌとの交配も可能だったのかもしれません。

それでも研究者らは、パンパスギツネの属するスジオイヌ属と一般的なイヌ属(Canis)との繁殖が可能であることは初めて判明した事実であり、驚きに変わりはないと述べています。