このファーストペンギンという言葉は、アデリーペンギンのとある習性が由来だといいます。

アデリーペンギンは普段、海に潜って魚を獲るのですが、海の中は天敵だらけ。そこでどうするかというと、誰か1匹が海に落ちるまで、仲間同士で押し合いをするのです。

そして、海に落ちたペンギンが天敵に捕食され、血の海になれば危険と判断し、無事に泳ぎ始めたら、他のペンギン達も次々と海に飛び込んでいくのです。

「仲間を海に落として天敵に襲われるか観察?」アデリーペンギンの過酷な習性アデリーペンギン(提供:PhotoAC)

人間には勇気ある1匹が仲間のために飛び込んでいるように見えますが、実際は“毒味”と似た役割。自然界は想像以上に過酷な場所ですね。

温暖化とペンギン

南極半島の西側にあるパーマ基地には多くのアデリーペンギンが生息しており、700年も前から毎年、繁殖のために訪れています。全盛期には1万5000羽以上が確認されていました。

しかし南極半島の西側は、地球上で最も温暖化が進んでいる地域のひとつ。約50年で摂氏6.3度も上昇、2001年~2002年には過去最高気温を記録しています。

さらには普段降らない大雨、季節外れの雪の影響で環境が大きく変化し、毎年何万羽と訪れていたアデリーペンギンが、2002年頃には4000羽ほどしか確認されなくなったといいます。

このパーマ基地の話は、南極全体のアデリーペンギンの小さな群れのひとつですが、同じように危機を迎えているのは決してこの群れだけではないはず。もちろん他の種にも影響が及んでいることを考えると、地球規模でペンギン達の未来に警報を鳴らしているのは間違いありません。

ペンギンのことを考えるきっかけに

実際、世界に存在している18種類のペンギンの内、10種は絶滅危惧種、3種は準絶滅危惧種とされています。

これから先のペンギンたちの未来は、私たち一人ひとりの意識や行動に委ねられているのではないでしょうか。「世界ペンギンの日」をきっかけに、私たちにできることを考えてみませんか?