ローマを拠点とするこの靴職人は、ペルー出身であることも話題になっている。ペルーはレオ14世が長年宣教師として、後に司教として活動し、教皇自身もペルーのパスポートを所持している。この靴職人は、手作りの靴と教皇への贈呈について、自身のインスタグラムのプロフィールで報告している。

ちなみに、黒のローファーは靴紐のないスリッポンタイプの靴で、色は黒色のものを指す。ローファーは、一般的にカジュアルな印象があるが、ビジネスシーンやフォーマルな場にも合わせやすいというから、米国生まれで実務的な新教皇にとっては理想的かもしれない。

カーレンは「赤い靴」の呪いから解放されるために足を切断する。現代的に表現すれば、一種のダンシングマニアだ。一方、教皇の「赤い靴」はイエスの第一弟子でローマで逆さ十字架で殉教したペテロの血の色を象徴しているとか、イエスの十字架の犠牲を象徴しているとか言われる。いずれにしても、「赤い靴」には重い歴史が隠されているという話だ。

参考までに、神は創造したカラフルな世界で「赤」色が最も好きだったという。それ故にというか、悪魔は神が好きな「赤」を奪ったというのだ。無神論的共産主義者を「赤」と呼ぶのもそれなりの歴史的背景があるわけだ。

なお、色彩論によれば、「赤」は、情熱、エネルギー、力強さと共に、危険や警告を象徴する色と受け取られている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年7月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。