外国人労働者がどの分野で必要とされ、どのような人数規模で推移しているのか。また、現行制度にどのような課題があるのか。こうした問いを出発点に、報道各社が各党・候補者に質す姿勢こそが求められている。この視点をもとに、選挙報道のあるべき在り方を提案したい。
2. 現行制度における外国人労働者の課題現行制度では、技能実習制度や特定技能制度を通じて数多くの外国人が日本社会に受け入れられている。一方で、制度の狭隘性ゆえに就労の継続が困難となる事例も少なくない。
仮放免制度のように、制度の網を外れた外国人が法的にも社会的にも宙ぶらりんの状態に置かれる例は後を絶たず、これはもはや法のグレーゾーンというより、制度設計そのものに潜む構造的な課題といえる。この現状を受け止め、具体的な制度の問題点に焦点を当てて考察する。
3. 求められる制度的展開人口減少と産業構造の変化が進むなかで、我が国に必要なのは「排除する制度」ではなく、「計画的かつ人道的に受け入れる制度」である。いずれの政党も、「外国人労働者の受け入れ自体」には必ずしも反対していない。とするならば、現行制度に対してどのような具体的施策を講じるべきか――それこそが議論の中心であるべきだ。
このような制度設計の試みは、「受け入れるか否か」という単純な二項対立ではなく、「国益」「社会統合」「制度安定」という三つの軸から外国人政策を捉える契機となるはずである。
この連載が完了する頃には参議院選挙も終えているだろう。しかし、制度論は選挙の後にこそ意味をもつ。だからこそ、私たちは冷静に、そして構造的に本件に向き合わねばならない。