また、同会長は「250万人以上をスタジアムに動員した。1試合あたり約4万人の観客数。世界中のリーグで唯一この上を行くプレミアリーグにはホームチームがある。この大会は中立地のスタジアムで行われた」と大入りだったことを強調。空席が目立つ試合もあったが、人気のカードでは大容量のスタジアムが大観衆で埋まった。

サッカー史上最高額の賞金を用意し、決勝戦ではジェット機がスタジアム上空を飛行。前座だけでなく、ハーフタイムショーでもライブミュージックが盛り上がった。審判目線のカメラが導入されたのは画期的であった。他のスポーツではすでに使われており時間の問題かと思われたが、このタイミングで解禁した。やはりエンタメ大国アメリカだけに、演出で進展が見られた。

豪華版プレシーズン・トーナメントという感もあった。監督が交代したばかりのレアル・マドリード(シャビ・アロンソ監督5月25日就任)にとっては、早期に新体制を始動させることができて、今後のチームプランを立てやすくなったことだろう。

FIFAクラブワールドカップのトロフィー 写真:Getty Images

チームや選手のモチベーションにバラつき

しかしながら、1994年のFIFAワールドカップアメリカ大会にも言えることだが、今大会は選手の健康よりもビジネスが優先されたと言える。サッカーの巨大市場であるヨーロッパのゴールデンタイムに合わせて、アメリカの日中に試合が組まれた。今後は環境さえ整えば、空調の効いた屋内スタジアムで行うのが賢明だろう。

お膳立ては申し分ないが、選手の身体と気持ちが、なかなかついてこず温度差があった。本来であればオフシーズンの夏季開催。暑さで選手の動きが鈍くなった。チームや選手のコンディションやモチベーションには、バラつきがあったと言わざるを得ないだろう。

また、スタジアムによっては、ピッチの状態がヨーロッパとはかけ離れているという声が現場からは聞こえてきた。気温が高く選手たちは身体にムチを打ちながら走り回った。インファンティーノ会長は、アメリカの気温の高さは問題だと認めつつも、温暖化はサッカーだけではなくスポーツ界全体の課題だと主張した。