もう一つの争点、外国人問題です。これは欧米の流れとそっくり似てきたなと思うのです。ご承知の通り、欧州ではシリアなどの難民が欧州各地に広がり、それが各国で大きな政治問題になりました。英国はそれもありEUを離脱したし、フランスは割れ、保守派が台頭、ドイツは移民対策で経済全体が廻らなくなり、かつてのドイツの威厳はすっかりなくなりました。

一方、アメリカはメキシコとの国境を越えてくる不法難民が後を絶たず、トランプ氏は魔女狩りならぬ不法移民狩りを徹底して行っています。アメリカ南部で今、最も怖いものといえば米国移民税関捜査局(ICE)で、レストランから農場に至るまで彼らがやってくればそこで働く人をチェックし、不法移民がいれば即時捕まえています。文化大革命の時の紅衛兵と全く同じであります。

実はカナダも移民や学生、外国人に対する就労ビザの発給を絞っており、産業界がガタガタになっています。学校には学生が来ない、労働者が足りない、住宅が売れない、といった状態ながらも必死に耐えているという感じです。

さて日本の場合、急に外国人が大挙して居住するようになったり、日本の市場を意図せずして荒らすということは局所的なケースを除き、あまりなかったと思います。

今や電車はスーツケース族で占拠され、ホテルの価格は出張者が払える金額ではなく、飲食店も金払いの良い外国人目当てのメニューを考案するので日本人の物価感覚には遠いものが増えてしまいました。シェアハウスなど中期滞在する施設も価格上昇で物件も少ない事態です。京都四条に行けば外国旅行に来たような気分になるのは皮肉としか言いようがありません。

これは欧米の難民事情とはもちろん性質も性格も違いますが、人々が「外国人が増えて今までと変わった」ということに一定の抵抗を示す点では保守的思想になりやすい点で同じような傾向を示すと考えています。

この状況に「どうにかしてよ」という声が出るのは当然であります。以前も指摘しましたが、政府は増えすぎた外国人に対する対策が後手後手なのです。日本の役所は何か問題が起きないと動かないので市民からの突き上げでようやく「対処します」になるのです。私は「日本人ファースト」という表現は好きではないけれどそう言われても致し方ないのかもしれません。