その結果、ホライモリは、野生環境においてナマケモノを遥かに上回る「不動性」を手に入れたのでしょう。
ただ、ホライモリの姿を見て「怠け者」と思うのは、人間の価値観にすぎません。
動かず、無駄を省き、最小限のエネルギーで長く生きる――それは洞窟という過酷で静かな世界で生き抜くために選ばれた、究極の生存戦略です。
そしてこの研究は「動かないことこそが環境適応の鍵になることもある」という、生き物の多様な進化の姿を教えてくれます。
人間が“忙しさ”を競う世界で、ホライモリは何年も同じ場所で、静かに、しかし確かに生き続けているのです。
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参考文献
Scientists Tracked An Olm For 2,569 Days And It Did Not Move An Inch
https://www.iflscience.com/scientists-tracked-an-olm-for-2569-days-and-it-did-not-move-an-inch-79999
元論文
Extreme site fidelity of the olm (Proteus anguinus) revealed by a long-term capture–mark–recapture study
https://doi.org/10.1111/jzo.12760
ライター
ナゾロジー 編集部
編集者
ナゾロジー 編集部