PBの売上比率をさらに引き上げ

 では、「まいばすけっと」はセブンを脅かす存在になるのか。

「これまでは日本で最も人口が集中している東京23区、川崎、横浜あたりに1000店舗ぐらいを密集させて、物流の効率を上げてきました。現在では少しずつ外に広げようとしています。神奈川でいうと座間、東京であれば立川、国立など、鉄道線沿いではあるものの、少しずつ外に広げていっています。関西にも首都圏と似たようなエリアはありますし、コンビニなどの跡地を狙えばかなり用地は確保できるはずです。

 全国的に見てもマーケットはまだありますが、人口密度が低くなると売上が減ってしまう可能性があるので、『まいばすけっと』が今、実験しているのは、全体の効率をいかに上げるのかという点です。コストダウンをさらに進め、PB比率をさらに上げた店をつくろうとしています。PBは、価格は低いものの粗利率は3割近くあるとみられ、売上が下がったとしても利益率が高い分、採算が取りやすくなります。PBの売上比率を5割くらいに引き上げた店舗を実験的に出したという報道も出ています。

 近い将来、コンビニを脅かす存在になってくるでしょう。『まいばすけっと』の店舗はセブン-レブンのすぐ近くにあることが多いですが、これはセブンとの競争に負けたコンビニ店舗が撤退した跡地に『まいばすけっと』が出店するケースがこれまでは多かったということだと考えられます。居抜きだとちょうどいいサイズの箱なので、そのままサッと入れるということで、狙って入っているのでしょう。

 実質賃金の低下や物価の高騰で消費者の懐が厳しくなり、割高なコンビニで買い物をすることを躊躇(ちゅうちょ)する人は確実に増えています。そうしたなかで『同じような商品を比べると、コンビニより全然安いから、まいばすけっとに行こう』となる人が増えるのは当然です。イオンもミニストップというコンビニを展開していますが、店舗数は極めて少なく、バッティングしにくいので、あまり気にすることなく“コンビニキラー”のような動きをできるのもイオンの強みでしょう」(中井氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中井彰人/流通アナリスト)