■そこの君! レモン1個に含まれるビタミンCはレモン5個分だぜ!

MATCH
(画像=『Sirabee』より引用)

一読しただけではなかなか気づけないが、前出のビタミンC量はレモンの「果汁」をベースに算出した数値である。続いては、文部科学省が公開している「食品成分データベース」を確認してみよう。

同データベース上では「レモン」のデータを「果汁」と「全果」で区分しており(それぞれ可食部100g当たりの数値)、ビタミンC量は後者が「100mg」となっている。

つまり、これまで説明してきた「レモン1個分」は、あくまで「レモン1個分の果汁を20mgとする」と定めたガイドラインが元になっているが、実際のレモンは「果汁以外の部位にもビタミンCを含んでいる」というワケである。

そのため、(ガイドライン上の)レモンと、(現実世界の)レモンでは、ビタミンC量に約5倍もの差が生じているのだ。さらに、現実世界のレモンには「個体差」があるため、実際には1個当たりのビタミンC量は80〜120mgが目安と推測される。

逆に考えれば、「(現実世界の)レモンには(ガイドライン上の)レモン5個分のビタミンCが含まれている」とも解釈できるのだ。

■文科省が算出した「可食部」は?

続いては、文部科学省 科学技術・学術政策局 政策課 資源室に、レモンの「可食部」について確認をしてみる。

すると、担当者からは「レモン(全果)」ページの備考には『廃棄部位: 種子及びへた』と記載されています。つまり、分析部位は、果実のうち『種子、へた以外の残りすべての部位』です」「また、試料のうち廃棄した部分(この場合は『種子およびへた』)の重量割合は3%で、『廃棄率』として収載されています」との回答が得られた。

…と、ここで捻くれ者の記者は考える。「可食部全体には、果汁以上のビタミンCが含まれている」ということは、可食部以外(種子、へた)も含めれば、ビタミンC量により大きな差が生じるのではないだろうか。

しかし、担当者は「仮に、『レモン 全果』として収載している可食部に廃棄部位である種子およびへたを含めて分析し、果実全体の100g当たりの値を示そうとすると、可食部と比べて『種子およびへた』に多く含まれる成分では値は大きくなり、逆に可食部と比べて「種子およびへた」に少なく含まれる成分では値が小さくなることになることが考えられます」と、データ上のノイズになる可能性を指摘。

その上で、「廃棄率が3%なので、このように廃棄部位を追加して分析したとしても、大きく変動しない成分が多い可能性が考えられます」と、バッサリ切り捨てていたのだった。

飲み物を飲む際は、「レモン○個分のビタミンC」表記を過信しないよう、気をつけたい。