この世には「東京ドーム何個分」といったように、規模の具体的な数値は一切分からないが「何か凄いことだけは伝わる」指標がいくつか存在する。
さて読者諸君は、ドリンク類に明記された「レモン○個分のビタミンC」という説明に、大きな矛盾とも取れるルールが存在するのをご存知だろうか。
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■「レモン1個分のビタミンC」=「レモン1/5個分」
結論から言うと、飲料商品に書かれた「レモン1個分のビタミンC」は、実際には「レモン1/5個のビタミンC」を意味する。
つまり、飲料商品と実際のレモンでは、ビタミンCの含有量に5倍もの差が生じているのだ。そのため、ネット上には「レモン1個に含まれるビタミンCはレモン4個分以上」なるミームまで存在する。
なお以前、Sirabee編集部が全国の10~60代の男女653名を対象にアンケート調査を実施したところ、こちらの事実を知っていたのは全体のわずか10.6%と判明した。

ではなぜ、このような大きな矛盾が生じるのだろうか。
これには、一般社団法人「全国清涼飲料連合会」が定める「レモン果実1個当たりのビタミンC量」表示ガイドラインの定義が大きく関係している。
■『C.C.Lemon』で実際に計算すると…
曰く、「清涼飲料水に添加されたビタミンC量をレモン果実の個数により表示する場合には、レモン果実1個当たり 『20mg換算』を基準とすることが適切である」とのこと。
これは、レモン1個当たりの目安重量を120gとし、レモンのビタミンC含有量は、『日本食品標準成分表 五訂』(文部科学省)において、レモン果汁 (全果に対する果汁分30%)100g当たり50mgとされていることが基準となっている。
つまり、レモン果実1個当たりのビタミンC量を算定すると、120g(レモン1個重量) × 30%(果汁分) × 50mg(ビタミンC) / 100g(果汁) ≒ 20mgとなるのだ。
(引用:全国清涼飲料連合会「『レモン果実1個当たりのビタミンC量』表示ガイドライン」)

試しに「レモン48個分のビタミンC」とパッケージに書かれた『C.C.Lemon』の栄養成分表示を見ると、100ml当たりのビタミンC量は「160mg」となっていた。なお、同商品は600mlのビッグサイズである。

計算すると、160mg(100ml当たりのビタミンC量) × 6 ÷ 20mg(レモン果実1個当たりのビタミンC量) = 48となり、確かに『C.C.Lemon』の表示でも、レモン1個分のビタミンCは「20mg」として算出されていることが明らかになった。
しかし、ここまでの説明において、じつは意外な盲点が潜んでいることにお気づきだろうか。