一方、ガニエカの兄のヤキニはというと、雨が降るや否や真っ先に屋根の下に逃げ込んでいったといいます。
同じ場所で育った兄弟でも、ここまで違うとは驚きです。
多くの動物園では、ゴリラたちの居住スペースに暖房が効いており、雨に慣れることはあまりありません。
そのため飼育下のゴリラは、基本的に濡れることを嫌がる傾向があるといいます。
ですがガニエカにとっては、雨の日は特別な時間。
他のゴリラたちが雨宿りしている間、広い屋外スペースをひとり占めできる“ごほうびタイム”なのです。
誰も見てないうちにこっそり雨を楽しむ
ガニエカとヤキニ、そしてもう1頭のモタバは、同動物園の「独身グループ」として暮らしています。
いずれは別の動物園へ移動し、繁殖のために「お見合い」することが予定されています。
野生では、若いシルバーバック(成長したオスゴリラ)が家族群を率いるために、他のオスと争う必要がありますが、動物園ではその代わりに「マッチング」が行われます。
このとき使われるのが、ゴリラ用の「プロフィール」。
遺伝情報を記録して近親交配を避けるのはもちろんですが、近年では「性格」や「行動傾向」も選考材料になります。
飼育員のローラ・ヒクルトン氏によれば、「遺伝子が理想的でも、性格の不一致でうまくいかないこともある」とのこと。
「お見合い」がうまくいくかどうかは、やはりフィーリングも大切というわけです。

ガニエカは、弟気質でいたずら好きな性格。
兄ヤキニを起こして困らせたり、構造物をドンドン叩いて反応をうかがったり、まるでわんぱくな少年のようです。
それでいて、甘えん坊で繊細、好奇心旺盛な一面もあり、飼育員たちは「ガニエカにいつも翻弄されている」と語ります。