時代が大きな転換期を迎えている時、米国でトランプ政権が誕生した。‘‘米国ファースト‘を掲げて関税政策から不法移民の追放など有権者に公約した政策を次々と実施していった。トランプ政権が繰り出す政策で世界は右に、左に揺れ出してきた。
米国のウクライナへの武器支援問題でも、「支援する」から「一部停止」、そして「武器支援するが欧州側がその代価を払うように」といった具合で、米国のウクライナ政策はコロコロと激変してきた。それを受け、ウクライナ国民だけではなく、欧州の大多数の国民はトランプ大統領の朝令暮改の政策に不信と不安を感じてきているわけだ。
トランプ氏は自身が認めているように時代が用意した予言者のような存在かもしれない。新しいものを生み出すために、古いものを破壊する使命を受けた予言者だ。だから、必然的にそのような予言者は既成の社会、世界から激しい批判にさらされる。トランプ氏はこれまで2度、暗殺未遂の危機に遭遇している。ただ、既成世界の破壊を使命とする予言者に「破壊後の世界」の青写真を尋ねることはあまり意味がないだろう。新しい世界を建設する使命を持った予言者の出現まで待たなければならないからだ。
イエスはエルサレムの神殿を指して、「終末の時,エルサレムの神殿の石がことごとく崩れてしまうだろう」と語っている。世界がこれまで培ってきた規則、秩序、原則が時代の洪水にあって流されていく、という意味だろう。新しい葡萄酒は新しい革袋にいれなければならないのだ。
「時代が転換期を迎えている」とすれば、規制の社会秩序ばかりか、世界情勢も激変することは避けられない。イエスは2000年前、イチジクの木を例に挙げて、「イチジクの木からこの譬(たとえ)を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる」(「マタイによる福音書」第24章)と語り、時の訪れを知れと諭した。宇宙、森羅万象の動きから季節の移り変わりを知ることが出来るように、歴史の「時」を知るべきだというわけだ。