一部には「過激」「極端」と受け取られかねない政策もある。しかし私は、それらが戦後日本の政治・行政に深く根を張る官民の利権構造を揺るがすきっかけになることを、むしろ歓迎している。中央官庁と業界団体の癒着、補助金依存の地方行政、歪んだ公共事業の構図——こうした構造に真正面から異議を唱える政治勢力が、いまこそ必要ではないか。
参政党はまた、SNSなどデジタルメディアを駆使した草の根的な情報発信にも長けている。従来の政党がマスメディアや組織票に依存していたのに対し、同党は講演会やライブ配信を通じて、個々の国民が「知り、考え、行動する」きっかけをつくっている。これは政治に無関心だった層を引き込み、民主主義を再活性化する動きとして注目すべきだ。
もちろん、懸念点がないわけではない。反ワクチン的な発言やMMTへの信頼、外国人政策に見られる排他的なトーンなど、慎重な検証が必要な要素もある。だが、それでもなお、参政党が提示しているのは「政治とは何のためにあるのか」という根源的な問いかけであり、それ自体が日本の政治に新たな風を吹き込んでいる。
理念を掲げるだけでは、政治は動かない。だが、理念なき実務政治もまた、民意を失う。参政党が今後、理念と現実のバランスを取りながら、実効性のある政策を打ち出していけるか。そこに期待を寄せつつ、私は「変化を恐れず、挑戦を選ぶ」という意味で、参政党の存在を肯定的に評価している。
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桐山 英夫(きりやま・ひでお) 会社経営者。元生命保険会社勤務。企業経営と社会制度の接点に関心を持ち、教育・安全保障・規制改革の政策動向を注視している。