異端児「オウムアムア」との違いは何か

 一方で、過去の訪問者たちは少し異なる経歴を持つようだ。2017年に観測され、ローブ氏が「地球外文明の探査機かもしれない」と主張して物議をかもした「オウムアムア」は、若い星々が集まる「薄い円盤」の出身らしい。年齢も10億〜20億歳ほどと推定され、3I/ATLASに比べれば「宇宙の若者」といったところだ。

太陽より古い!?太陽系を駆ける新たな恒星間天体「3I/ATLAS」の正体とはの画像3
(画像=オウムアムアは細長い形状をしていると想像されている ESO/M. Kornmesser –http://www.eso.org/public/images/eso1737a/,CC 表示 4.0,リンクによる)

 ローブ氏は、オウムアムアが他の天体とは明らかに異なると今も考えている。その理由は、極端に平べったい円盤のような形状、そして惑星や太陽の重力だけでは説明できない「謎の加速」を見せたこと、さらに彗星のようなガス放出が一切観測されなかったことだ。彼は「オウムアムアは、ボリソフや3I/ATLASと比べても異常な存在だ」と指摘し、人工物である可能性を捨てていない。

 これに対し、彗星「ボリソフ」は太陽とほぼ同じくらいの年齢で、同じく「薄い円盤」から約17億年かけてやってきた、いわば「同世代」の旅人だと考えられている。

世紀の天体ショーへ、観測体制は万全

 科学者たちは、これから1年かけて3I/ATLASの追跡を続ける。今年12月17日には地球に最も近づくが、その距離は約3億6000万kmと十分に安全な距離だ。最接近に先立ち、10月には火星へ約5900万kmまで近づく予定で、これも絶好の観測機会となる。

 チリのルービン天文台や、宇宙に浮かぶジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡といった世界最高峰の観測装置が、この謎多き訪問者の姿を捉えようと待ち構えている。科学者たちは、この観測を通じて、天体が予測通りのルートをたどるかを確認し、その組成や起源に関するさらに詳細な情報を得ることを目指している。

 はるか遠い宇宙の片隅からやってきた「長老」が、一体どんな物語を我々に見せてくれるのか、世界中の期待が高まっている。

参考:Daily Mail Online、ほか

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