ロイター通信などは中国がロシアにドローン、巡行ミサイル、超小型電子機器、工作機械などを供与していると報じてきたが、ここにきてロシア製無人機の製造で中国企業の関与が報道されている。ウクライナの「ラジオ・スヴォボダ」は軍事情報として、「ゲラン2型ドローンに使用されている部品の60~65%は中国製」と報じたばかりだ。ちなみに、ウクライナのシビハ外相は今月4日、、撃墜されたゲラン2無人機の残骸の画像を公開したが、部品の一つには、中国メーカーの刻印が発見された。米国のビジネス誌ブルームバーグは最近、ロシアのドローンメーカーと中国企業との提携について報じている(この項、オーストリア国営放送ORFのニュースサイトから)。

オーストリア軍の軍事アナリスト、マルクス・ライスナー氏はORFとのインタビューで、「ロシアにはウクライナ戦争を軍事的に支援する同盟国がいるが、ウクライナは防衛システムの枯渇という課題に直面している」という。

ロシアとは異なり、ウクライナは最大の軍事支援国米国との間で武器供与をめぐって駆け引きを続いている。今月1日、「米国防総省は対空ミサイルを含む、一部の兵器のウクライナへの供与を停止した」と報じられ、ウクライナに衝撃が走った。しかし、トランプ米大統領は8日、国防総省の動きを知らなかったと説明し、「ウクライナにパトリオットミサイル防衛システムも含む防衛兵器を供与する」と発表した、といった具合だ。

なお、米軍が保有するパトリオット対空ミサイルは、軍事目的に必要な数の約4分の1しかないという。在庫減少の理由は、主に中東へのパトリオット配備のためだという。

いずれにしても、ウクライナの戦場は「資源と戦力(兵力)の消耗戦」(ライスナー氏)となっている。この点で、モスクワは現時点では有利だ。ウクライナ側がその不利な状況を早急に是正できなければ、さらなる領土を失うことになる。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年7月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。