甦るのは石の塔ではなく「デジタルツイン」
1994年、フランスの考古学者によって海底に沈む灯台の遺跡が発見されて以来、その研究は続けられてきた。そして今回のプロジェクトが目指すのは、物理的な再建ではない。仮想空間に灯台を完全復元する「デジタルツイン」の作成だ。
引き上げられた巨大な石のブロックは、一つひとつ丁寧に3Dスキャンされる。そして、そのデータを元にボランティアの技術者たちが仮想空間で石を正しい位置にはめ込んでいく。それはまさに、「巨大な考古学パズル」に挑むような作業だ。
このデジタルツインが完成すれば、灯台の正確な構造や建設方法、そして倒壊の謎を解明する手がかりが得られるだけでなく、私たちもその恩恵にあずかることができる。仮想空間を訪れることで、誰もがまるでその場にいるかのように、かつての壮大な灯台の姿を探索し、体験できるようになるのだ。
古代の叡智と21世紀の技術が融合し、失われた世界の驚異を未来へと語り継ぐ。アレクサンドリアの港で進むこのプロジェクトは、歴史ロマンと科学の興奮に満ちあふれている。
参考:Live Science、ほか
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