単純にCPU性能だけでは測れない快適さ

「arrows Alpha」はSoC(プロセッサ)としてミドルハイスペック端末向けのMediaTek製「Dimensity 8350 Extreme」を採用しており、メモリはハイエンドモデルでも一般的な12GBを搭載している。より高価格帯のハイエンドスマホと比較して、「こういう点はやや我慢していただく必要がある」という点はあるのか。

「弊社がターゲットとしているユーザー層は、これまではハイエンドスマホを使っていたけれども価格が上がってもう手が届きづらいと感じているユーザー様が多いです。そのようなユーザー層の方々は、CPU性能の優先順位が相対的には高くはなく、長期利用に資する仕立てやRAM・ROMの大容量へのニーズが高い傾向と捉えています。『arrows Alpha』のように512GBのROMがついて、さらにSDカードで拡張性が持てるという機種は他にほとんどなく、単純にCPU性能だけでは測れない快適さをご提供できると考えております。

 また、ハイエンドクラスのユーザー様には2~3年ぐらいで買い替えるサイクルの方が多いですが、arrows Alphaは5年間のセキュリティ更新を保証して長期利用の間も快適にお使いいただけるように、電池の持ちの改善、高い堅牢性・防水性の確保にも注力しております。

 より高い性能のSoCを採用する意味というのを改めて考えたときに、その実質的なメリットをどれだけの方々が享受できているのかというのは、非常に難しい面もあります。SoCも多数のバリエーションが出てきて、以前と比べてかなり複雑化しており、ベンチマークとして高いスコアを取ったとしても、それが実利用にどこまでリンクしてるのかは評価が難しいです。

 今回私たちが『Dimensity 8350 Extreme』を採用した理由の一つとして、オンデバイスでAIを動かせるというのが大きなポイントとなっています。例えばベンチマークテストでスコアが高くても、オンデバイスでAIが動かなければ、私たちが提供したい体験の広がりを実現するためには理想的ではないということになります。ワンランク上のSoCと比較してCPU性能は落ちるものの、AIパフォーマンスがでるということになれば、実勢品質としては劣っているとはいえないのではないでしょうか。

 今回、私たちはSoCに対してさまざまなチューニングを個別でやらせていただいており、『このチップセットだったら我々が提供したいユーザー体験というものを実現できる』というレベルにまで引き上げています。そういう意味も含めて、かなり魅力的なチップセット性能にできたと自負してるところでもあります」