条虫はイカの腸と胃以外から見つからなかったことから、これらがイカの腸壁に限定される可能性があるとしています。加えて、発見された寄生虫が幼体であったことから、アオリイカを中間宿主としていることが示唆されました。
また、この研究では野生のアオリイカからのみ条虫が発見され、飼育されたアオリイカから条虫は発見されなかったといいます。
和名は<イカチュウチュウ>
発見された条虫のうち1種はPhoreiobothrium属の未知の種であり、もう一方はNybelina属の新種と判明。
Nybelina属の新種はNybelinia enterikaと命名されました。種小名である“enterika”は、ギリシャ語で「腸」を意味する“enter”と日本語でイカを意味する“ika”を組み合わせた単語です。
新種記載されたNybelinia enterikaについて、研究チームは「イカチュウチュウ」という和名を提案。かなりユニークな名前なので、一度聞いたら覚えてしまいそうですね。
また、論文の著者の一人であるLucia Zifcakova博士は、「これらの条虫類が人間の健康に及ぼす危険性はまだよく分かっていません。しかし、条虫類がイカの組織を消化する際に使用する酵素は、人間にアレルギー反応を引き起こすことが知られています」と述べています。
アオリイカの寄生虫
条虫による寄生は、商品価値の低下に起因する経済損失や人間への健康リスクが懸念されています。
特に日本においては、イカを生食する文化があることから寄生虫に関するリスクは以上に重要なテーマです。
アオリイカ養殖はイカの安定的な供給だけではなく、寄生虫のリスクを回避する意味でも今後、重要性を高めていくかもしれませんね。
<サカナト編集部>