この研究結果は『Fisheries Science』にオンライン掲載されています。(論文タイトル:Long-term statistics of the Karenia mikimotoi blooms in western Japan imply multidecadal intensification and phenological changes on the semi- national, regional, and local scales.)
カレニア赤潮の長期的傾向とは
研究では、カレニア赤潮に関する長期データを年報から抽出し、異なる3つの空間スケール(1:西日本、2:瀬戸内海、九州海域、3:豊後水道や八代海などの限られた海域)で整理。
その結果、過去30年間の赤潮による被害総額は約90億円であること、瀬戸内海では九州海域の2倍カレニア・ミキモトイによる赤潮が発生していること、最も遅い赤潮は11月に発生開始していたことなどが明らかになったのです。

また、過去30年間において、西日本より細かい範囲を対象とした解析から、カレニア・ミキモトイによる赤潮の細胞密度増加及び長期化による悪化・早期化の傾向が認められたほか、九州海域を対象とした解析では赤潮発生海域の拡大傾向が認められる結果となりました。
赤潮対策の基盤として重要
この研究では、長年蓄積されてきた貴重なデータの有効利用が実現しました。
このような研究は赤潮対策の検討のための基本情報として、水産業だけではなく学術界にも大きく貢献することが期待されています。
<サカナト編集部>