つまり、相手が個人だと思うから何とか交渉で・・・と考えるのだが、為替だと思えば、いろいろ問題があるにせよ、為替を下げるのではなく、まずはどうやって乗り切るかを考えるのではないだろうか。
日本の国力がトランプ関税が適用されればダメになるほど、やわなものであれば「お代官様・・・」でいいが、(個別に考えればかなり厳しい企業もあるであろうが)日本全体として、国が傾くレベルではあるまい。
トランプに3期目はない。次の大統領がトランプ寄りであっても、関税をあげることなどのトランプ政策によるアメリカ経済への弊害がじわじわ現れてくれば、今のようなドラスチックな政策はとれないだろう。
輸出価格というものはいずれ適正価格になる。そのとき、アメリカ経済がどうなるか、そのときにまたあたふたするのだろうか。
長期的に世界の経済を考えたときに、トランプの行動をそのまま受け入れるより、日本人の得意な受け流す、という作戦は、理にかなっていると考える。
関税を嫌ってのアメリカへの工場移転については、労働力の質・コストなどを考慮二の次にしてまで移管をすることが本当に起業にとって最善策かどうか、ということをもっと真剣に検討すべきである(少なくともトランプ在任中には工場の移転など無理であろう)。
もちろんこれは言いなりになるのでなければ、工場移転を含め、日本の国益にかなうことをアメリカの利益に見せかけて行うことは問題ではない。うろたえで「盲目的に」いうことを聞くのでなければいいのである。
こう考えれば、やりますやります、といって現時点で何もやらない、という今の石破政権のトランプに対するあり方は、交渉の仕方として申し分のないものだと思うがいかがだろうか。
日本がつぶれないなら、口ではご機嫌を取って(そういう意味では「交渉します」と、アピールして)、トランプに成果が出せたように言わせて、トランプの任期満了をグッと待つという石破総理の戦略は素晴らしいではないか。