参政党が参院選の公約に「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」を掲げたことの真意を問われ、同党の神谷宗幣代表が説明をした内容を取り上げた朝日新聞の記事が話題だ。

生命の尊厳に関わる厳粛な問題であると同時に、危機的状況にある日本の財政悪化の本丸に関わる問題である。議論が喚起されることや、そこで異なる意見が表明されることは、当然かつ必要なことであると思われる。

ただ朝日新聞が、「間違い」としか言いようのない見出しの記事をSNS等で配信したことから、概念のところから混乱が広がり、非生産的な言い争いが繰り広げられて状況になっていのは、非常に残念である。

このようにして、重大な論点が、中身のない政争以前の混乱を助長するネタとしてだけ扱われていく。日本全体にとって不幸である。大手報道機関の社会的責任を問わずにはいられない。

争点になっているのは、特に医療機関の介入を必要としている状況の高齢者の「延命治療」のことだと思われる。これは「終末期医療」とは全く違う。というか、むしろ真逆である。

現行制度では、超高齢者の「延命治療」にも多額の補填がなされる。これに対して、「延命治療」が自費になり、むしろ死を迎えるための準備である「終末期医療」には補填がなされる場合とでは、効果が、おそらく全く逆になる。現行制度は、延命治療を通じた医療依存期間の長期化に誘因が働き、後者では延命治療なき寿命の短縮化に誘因が働く。