こうした“反省的な思考”は、道徳の絶対性を揺さぶり、従来の道徳観を再解釈する力を持ちます。
その結果として、道徳の「強さ」自体が薄れてしまうのかもしれません。
つまり、知能が高いからこそ、道徳的な「良心」すらも疑ってしまうのです。
ただ今回の結果は、知能が高い人ほど、道徳に反する悪い行いや判断をしやすいことを意味するものではありません。
むしろ、知能の高い人は、感情的な直感に左右されにくく、状況や背景を加味した上で判断しようとする傾向があるとも言えます。
それが結果的に、直感に基づいた「道徳基盤理論」のスコアを低下させていた可能性があるのです。
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参考文献
People with higher cognitive ability have weaker moral foundations, new study finds
https://www.psypost.org/people-with-higher-cognitive-ability-have-weaker-moral-foundations-new-study-finds/
元論文
Higher cognitive ability linked to weaker moral foundations in UK adults
https://doi.org/10.1016/j.intell.2025.101930
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部