人の肩にちょこんと止まるほどの小さな翼竜が、2億年前の北米にいたようです。
米スミソニアン国立自然史博物館(NMNH)はこのほど、北米でこれまでに発見された中で最古の翼竜化石を発見し、新たに「エオテフラダクティルス・マッキンタイレアエ(Eotephradactylus mcintireae)」と命名しました。
この名前は「灰の翼を持つ夜明けの女神(ash-winged dawn goddess)」という意味があり、太古の火山灰に包まれた地層から掘り出されたその姿にふさわしい美しい称号です。
一体どんな姿をしていたのでしょうか?
研究の詳細は2025年7月7日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。
目次
- 北米最古の翼竜「灰の翼を持つ夜明けの女神」
- 三畳紀末に起きた大量絶滅事件
北米最古の翼竜「灰の翼を持つ夜明けの女神」
今回発見された新種の翼竜は、体のサイズが現代のカモメほどしかありません。
私たちの肩に楽に止まれるほどの小さな翼竜だったようです。
しかしこの生き物が生きていたのは、今からおよそ2億900万年前の三畳紀末のこと。
超大陸パンゲアがまだ一つにつながっていた時代であり、北米とヨーロッパも地続きだったため、翼を使わなくても「歩いて渡れる世界」だったのです。
この新種の翼竜は、米南西部・アリゾナ州にある化石の森国立公園の「オウルロック層」と呼ばれる地層で発見されました。
この地層には火山灰が豊富に含まれており、その鉱物成分から年代が正確に測定できることが特徴です。
今回の発見は、その地層が約2億900万年前のものであることから、新種の翼竜が三畳紀末の直前に生息していたことを裏付けました。

この翼竜が生きていた当時の環境は、乾燥したモンスーン型気候で、季節ごとに一時的な雨が川をあふれさせ、周囲の動植物や火山灰を巻き込んで堆積していました。