陰謀論からの開放にはAIの活用がおすすめだ。「あらゆる統計データや科学的見地から自分のこの考えを否定してください」と頼めば冷静さを取り戻せるだろう。「AIはすでにハックされている!」と言い始めたらもうどうしようもないが。

2. 調べすぎ

そして彼らは共通してあまりにも調べ過ぎなのだ。「知的好奇心が強い」といえば聞こえはいいし、その知的体力が学問やスキルの研鑽を磨くことに活用されれば言うことはない。だが、大抵の場合、彼らの好奇心はあまり良い方向には使われない。

どんなニュース、事件にも必ずグレーゾーンは残る。それは情報の非対称性だったり、犯人や関係者しか知り得ない情報というものがあるので、真相は当事者でないとわからない。にも関わらず膨大な余暇時間を使って調べ、拡散することに熱心になる。

筆者も具体的な名称はいえないが、10年ほど前に世間を賑わせた大きいニュースで、当事者本人から直接真相を教わったことがある。その真相は、世間であれこれ言われている陰謀論を含めた考察とはまったく別の場所にあった。

そしてこの答えはどれだけ労力を使ってリサーチしたところで、当事者でなければ絶対にたどり着けない。この経験から学んだことは「外野があれこれ考察しても真実にたどり着けずに徒労に終わる」と。そしてそういう話は世の中にたくさんある。

調べても決して答えにたどり着けない…いやそもそも調べる必要がないことに労力を使うのはムダである。自分の人生を豊かにすること、直接役に立つ自己研鑽に時間や労力を使うべきだろう。陰謀論者は労力の使い方を間違っていることがあるように見える。

筆者も昔は陰謀論を考察するのが好きだった。未解決事件を夢中になって調べ始めて、気がつけば真夜中になることはよくあった。確かに楽しいエンタメではあり、人生の時間を何に使うかはその人の自由である。

だが、「陰謀論を拡散する」というのはまた別次元の一段上の行動となる。7月5日騒ぎでも陰謀論者に触発されたことで、金融資本やその他機会損失を出してしまった人がいる。情報の真偽を判断できる自信がない人はSNSは使わない方が人生は豊かになるだろう。