毒キノコは、動物たちに食べられるのを防ぐために毒を進化させたと考えられているため、今回の発見はとても興味深い現象です。
一方で、毒キノコが食べられたとしても、胞子が繁殖可能な状態で排泄されるのであれば、リスの移動に伴って、自らも生息域を広げることができます。
また、リスの方は毒キノコを食べられるような適応を遂げることで、食料資源をめぐる競争をまぬがれている可能性があります。
このように、ニホンリスと毒キノコの間には、相互扶助的な契約がなされているのかもしれません。

しかし、現時点では解明すべき謎が山積みです。
なぜリスは安全に毒キノコを食べられるのか?
リスは毒キノコの胞子散布にどのような役割を果たしているのか?
毒キノコはリスに食べられることで、本当に分布域を広げられるのか?
今後はリスが胞子の運び手となっているかを確かめるべく、フンの中に繁殖可能な胞子が存在するかを調べていく予定です。
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参考文献
「毒キノコ」とニホンリスの関係 ~ ベニテングダケを食べるニホンリス ~(神戸大学)
https://research-er.jp/articles/view/106480
元論文
Squirrel consuming “poisonous” mushrooms
https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/fee.2443
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。