3. 絶景レストラン、回転床の死角

最強の磁石、回転床… 現実に起きた『ファイナル・デスティネーション』級の悲劇【前編】の画像4
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

 2017年4月、アトランタ。ホルトさん一家は、高層ホテルの最上階にある回転レストラン「サン・ダイアル」で素晴らしいランチを楽しんでいた。このレストランは床がゆっくりと回転し、座ったまま360度のパノラマビューを堪能できるのが魅力だ。

 しかし、その魔法のような時間は悪夢に変わる。食事が終わり、一家が席を立った時、5歳のチャールズ君が数歩先を歩いていた。彼は、まだゆっくりと動き続けていた回転する床の壁と固定された木製のブースとの間に、どういうわけか挟まれてしまったのだ。

 その「ピンチポイント(挟まれる危険な箇所)」には、非常停止ボタンがなかった。父親やレストランのスタッフが必死で助けようと試みるが、床が停止した時、チャールズ君はぐったりと父親の腕の中に倒れ込んだ。頭部に致命的な傷を負った彼は、数時間後に病院で亡くなった。

4. 木材チッパーが招いた「完全な粉砕」

最強の磁石、回転床… 現実に起きた『ファイナル・デスティネーション』級の悲劇【前編】の画像5
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

 2005年12月、コロラド州。チャド・スワンクさんは、高所作業車のバスケットの中から、木の枝を切り落としていた。地上では、上司のブライアン・モースさんが落ちてくる枝を木材チッパー(粉砕機)に投入する作業をしていた。

 チャドさんが次の枝を切る前に、ふと下の様子を確認した時、彼は信じられない光景を目にする。上司のブライアンさんがチッパーの投入口の上で横たわっていたのだ。

「何をしているんですか?」と声をかけようとチェーンソーを止めた瞬間、チャドさんは気づいた。チッパーはまだフルスピードで稼働しており、ブライアンさんの身体が機械の中に引きずり込まれていくのを。チャドさんは高さ4.5mのバスケットから飛び降りて駆け寄ったが、もはや手遅れだった。

 後の調査で、ブライアンさんの手袋が機械に巻き込まれ、手を引き抜けなくなったのだろうと結論づけられた。検視官が記録した彼の公式な死因は、「total morselization of the body(全身の完全な粉砕)」という、あまりにも惨いものだった。